Marketing マーケティング戦略が進まない人必見!フレームワークをやる前に絶対に決めるべき「アイデンティティ」とは? 美緒香山川 2025年10月28日 Share: Facebook X 上司から、『新規事業を作ったから、マーケティング施策を考えてほしい』『何でもいいから、興味のある事業を企画してほしい』と言われたものの、いざ具体的な形にしようとすると手が止まってしまう——そんなマーケティング・事業企画担当者に、マーケティング戦略を策定をするために絶対に決めるべき必要がある事をお伝えします。 物事が中々決まらなかったり、ターゲットや施策が迷走してしまうはよくあることですが、 将来的な方向性を明確にしみんなが共通認識を持ってスピード感を持って、事業を進めていくために、一番最初に決めるべき“たった一つのこと”があります。 ——それは、事業アイデンティティの定義です。 事業の存在価値(=なぜこの事業をやるのか)を定義できれば、その後は各種フレームワークをスムーズに展開できます。 本記事では、アイデンティティの考え方から、STP・3C・ペルソナ・CJM・4Pなどの基本フレームワーク、そして実務で使うためのコツを紹介します。 目次 ・マーケティング戦略が進まない理由と“悲しきマーケターの性” ・マーケティング戦略で最初に決めるべき「事業アイデンティティ」とは? ・事業アイデンティティの作り方(ステップ解説) ・事業アイデンティティをチームで育てるためのコツ ・まとめ:マーケティング戦略は“アイデンティティ”から始まる マーケティング戦略が進まない理由と“悲しきマーケターの性” せっかく立ち上げた新規事業やサービスに対して、「このサービス、本当に必要あるの?」「売れるのかな?」そんな声を耳にしたことはありませんか。また、「自社のサービスは誰に需要があるのだろう?」と感じる瞬間も少なくないはずです。 マーケティング担当者は、限られたリソースの中で最大限の効果を求められる立場です。だからこそ、「費用対効果」や「成果の見える施策」を重視するのは自然なこと。むしろ、それはマーケターとしての職業的本能(=悲しき性)とも言えます。 しかし、少し立ち止まって考えてみてください。サービスや商品は、“勝手に売れる”ものでしょうか?“自動的に顧客のニーズに適合する”ものでしょうか? 答えはもちろん「いいえ」です。サービスや商品は、成長し、変化していくもの。それを導くのが、私たちマーケターの役割です。 だからこそ、「どんな人に売れるか」よりも「どんな人たちに価値を届けたいか」を考えることが大切です。“売る”という受け身の姿勢から、“届けたい人に価値を生み出す”という能動的な姿勢に変わると、サービスは自ずと成長し、適切な形で顧客に届いていきます。 マーケティング戦略で最初に決めるべき「事業アイデンティティ」とは? 「どんな人たちに価値を届けたいのか」という問いを突き詰めていくと、事業そのものの“存在意義”に行き着きます。それこそが、アイデンティティ(Identity)です。 アイデンティティとは、事業やサービスが「誰に、どんな価値を、どんな想いで届ける存在なのか」を定義したもの。そして、「どんな未来に向かって、その価値を届けたいのか」という意思を含めて考えることが重要です。 「アイデンティティ」とは、事業にとっての”心臓”のようなもの。 事業がどこへ向かい、誰に価値を届けるのか——その原点となるのが存在意義です。 「アイデンティティ」は“ブランド”や“コンセプト”とは違う 「アイデンティティ」は、“ブランド”や“コンセプト”とは少し違います。 ブランドは「どう見られたいか」、コンセプトは「どんな価値を提供するか」を表しますが、アイデンティティは、それらの根底にある“自分たちは何者か”という意思の定義です。 本記事では、マーケティング戦略を進めるうえで“最低限やるべきこと”をご紹介しています。そのため、まずは事業の根本(=アイデンティティ)を定めることができれば、ブランドコンセプトやミッション/ビジョン、パーパスの策定は一旦スキップしても問題ありません。 事業アイデンティティの作り方(ステップ解説) アイデンティティの考え方が見えてきたら、次は「どうやって形にするか」です。 言葉にするのは少し難しいかもしれませんが、いくつかのステップを踏めば、自然と自分たちらしい“軸”が見えてきます。 ステップ1|きっかけを思い出す まずは、その事業をやろうと思ったきっかけを思い出してみてください。 どんなシーンで「こんなものがあったらいいのに」と感じたのか?具体的に、誰が・どんな状況で・どんな困りごとを抱えていたのかを想像してみましょう。 たとえば—— レストランのメニュー翻訳アプリを企画した人なら、日本に来ている海外旅行者がレストランで困っている姿を見たのかもしれません。時短レシピ漫画を企画した人なら、「共働きで忙しい毎日でも、朝くらいはゆっくりしたい」と自分の実体験から感じたのかもしれません。 このように、“誰のために何を解決したいと思ったのか”を思い出すことが、アイデンティティの出発点です。 ステップ2|“誰に・何を・どんな想いで届ける存在か”を言語化する ステップ1で思い出した“きっかけ”や“体験”解決したい課題”をもとに、言葉にして定義するステップです。そのときに使えるのが、次のフォーマットです。 「○○○○な人に、○○○○をする存在」 これだけ、抽象的かつシンプルでOKです。 たとえば、先ほどの例をこの形にしてみると—— メニュー翻訳アプリの企画者なら: 「異国の地で言葉に不安を感じる旅行者に、“安心して食事を楽しめる体験”を届ける存在」 時短レシピ漫画の企画者なら: 「忙しく働く女性に、“自分の時間を取り戻せる朝”を提案する存在」 このように整理すると、単なる“事業アイデア”が“誰のどんな課題を解決するための存在か”に変わります。この定義こそが、あなたの事業のアイデンティティの核です。 ここで意識したいのは、少し抽象的に表現すること。 いきなり「どの年齢層」「どの媒体で」「どんな価格で」といった具体的な詳細を詰める必要はありません。具体的なターゲットや販促方法は、変化するものです。そのときに、根本的な存在意義がずれてしまうと、戦略全体が迷走してしまいます。 アイデンティティは、事業が完了するまで不変のものと捉え、将来の可能性を見据えて“広くカバーできる言葉”で定義することが大切です。また、事業に関わる全員が理解できる言葉であることも重要です。 まずは、あなたの事業が、“誰に、どんな想いを届けたい存在なのか”を、素直な言葉で書き出してみましょう。 ステップ3|まずは“仮決め”でOK。磨きながら精度を上げる アイデンティティは、一度で完璧に決める必要はありません。 最初は“仮の定義”でもOKです。 実際にフレームワークを実行したり、施策を動かしながら、抽象化と具体化を繰り返し、少しずつ精度を上げていきましょう。 その過程で大切なのが、関係者との対話を重ねることです。 一人で考え込むよりも、チームメンバーや経営層、現場担当者などと意見を交換しながら言葉を磨くことで、“共通認識としてのアイデンティティ”が形づくられていきます。 意見のすり合わせの中で、「私たちはこういう価値を届けたいんだよね」と自然に口にできるようになったら、それがチームに浸透した証拠です。 事業アイデンティティをチームで育てるためのコツ アイデンティティを言葉にするのは、想像以上に難しい作業です。 私自身、いくつもの企画やサービスづくりに関わる中で、何度も立ち止まりながら言葉を磨いてきました。その経験から感じるのは、アイデンティティは最初から完璧を目指すものではなく、“育てていくもの”だということ。 ここでは、「事業アイデンティティを定義するコツ」を紹介します。 最初から綺麗な言葉で表現しなくても大丈夫 最初から完璧で洗練された言葉を作ろうとしなくて大丈夫です。 まずは、思いつくままに話してみるところから始めましょう。 そして、もう一つ大切なのは、「言いやすい」「受け止めやすい」「理解しあえる」雰囲気をつくること。どんなに良い言葉でも、安心して意見を出せる場がなければ、本音や想いは出てきません。 アイデンティティづくりは、言葉を磨く作業であると同時に、チームの関係性を整えるプロセスでもあります。意見を否定せずに受け止め、少しずつ重ねていくことで、“自分たちらしい言葉”が自然と形になっていきます。 共通認識を持つ、相手への問いかけを大切に 誰かと会話しているときに、「うーん、なんか違うな」と感じたことはありませんか?その“違和感”こそが、アイデンティティをすり合わせるためのヒントです。 アイデンティティは、ひとりで決めるものではなく、みんなで作るもの。この「うーん…」という小さな違和感を放置すると、後々まで認識のズレとして残ってしまいます。 たとえば、誰かに「好きな食べ物は?」と聞かれたとき—— 「牛肉」「ウニ」「トマト」といった食材の話をしているのか、「和食」「フレンチ」「イタリアン」といったジャンルの話をしているのかで、会話の方向性が変わりますよね。 今、自分たちはどちらの話をしているのか? そう考えてみるだけでも、議論の焦点がぐっとクリアになります。 考えが止まったら“シーン”を描いてみる 立ち止まってしまったら、いったん抽象的な思考から離れて、具体的なシーンを思い浮かべるのがおすすめです。 「どんな場面で、誰が、どんな気持ちになるのか?」を想像する。あるいは、他社のサービスがどんな定義をしているのかをリサーチしてみる。自分たちとの共通点や違いを比べることで、新しい発見が生まれます。 たとえば、有名なドラマ『孤独のグルメ』を例にすると、 この作品のアイデンティティは、「日常の中で“ひとりの時間”を味わう人のために、食を通して“自由を感じる瞬間”を描く存在」と整理することができます。 それを、自分たちに置き換えたらどうなるだろうと当てはめてみてください。 このように、具体的なシーンを通して「誰に・どんな価値を届けたいのか」を考えると、抽象的だったアイデンティティが一気に“自分たちの言葉”として定着していきます。 まとめ:マーケティング戦略は“アイデンティティ”から始まる マーケティング戦略の迷いの多くは、分析不足ではなく「軸の不明確さ」から生まれます。だからこそ、まず最初に決めるべきは「自分たちは誰に、どんな価値を届ける存在なのか」。 アイデンティティを起点に、ターゲット・フレームワーク・施策を整理していけば、戦略の筋が通り、チーム全体のスピードも格段に上がります。 戦略づくりは“考えること”ではなく、“磨き続けること”。貴社チームが、自分たちらしいマーケティングを形にしていけることを願っています。 >> マーケティング戦略の資料ダウンロードはこちら >> Kufuruへのお問い合わせはこちら